あの日から5年

あの東日本大震災から5年が経ちました。

私が住んでいる習志野市袖ケ浦地区の震災直後の写真です。これは液状化現象のあとの様子です。5年前のあの日あの時、私はピアノを弾いていました。目の前のピアノの鍵盤が大きく揺れ、ピアノの上の物が転がり落ちて、言いようのない恐怖を感じたことを鮮明に覚えています。ほどなくして外に出てみると、埋め立て地区である私の住んでいる町は激しい液状化に見舞われ、あちこちから濁った水がふきだしてきました。道路は歪み電柱は傾き下水管の損傷の為、生活排水を流せない不便がしばらく続きました。全国の震災被害の様子をテレビで見るにつけ、本当に心を傷めました。

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一人の私の友人のお話しをご紹介します。彼女は仙台市に住んでいて、津波の被害に見舞われ学生時代からの愛用のグランドピアノの3本の足が水につかってしまいました。楽器メーカーに頼んでピアノの足だけを交換したそうですが、本来の音に戻ることなく、泣く泣く楽器を手放し新しいグランドピアノに買い替えたそうです。音楽家にとって楽器は体の一部のようなもの。まさに身を切られる思いだったにちがいありません。彼女は「生きている間に完全な復興を見ることはできないと思う」と嘆いていました。それでも前向きにピアノに向き合う生活を送っています。

私は今、当たり前のように目の前にピアノがあることに感謝しなければならない。と思いました。

この震災で被害にあわれた多くの方々、そして失われた多くの尊い命に、心より哀悼の意をささげたいと思います。